税理士に対する損害賠償請求が、近頃増えてきていると言います。
税理士の損害賠償責任について、少し考えてみましょう。税理士の仕事には、納税義務の適正な実現を図る責務があります。
しかし、実際に報酬を払っているのは、仕事を依頼してくれるクライアントです。そのため、顧客の要望に応えようと、できる限りの節税、時には脱税に加担する形になってしまうこともあります。
結果的に税務署から脱税と判断されてしまった場合、追徴される税金はどうなるのか、というのが、今回の税理士の損害賠償のポイントです。
脱税や申告漏れは実際に深刻な問題になっていて、名前の知れた大企業がニュースに登場することも少なくありません。節税は企業努力ですが、実際に脱税を税理士に依頼する人や企業は少なからず存在するようです。
また、一度小さなことでも調整してしまうと、それを隠すために連鎖的に大きな辻褄合わせが発生することも確かなようです。税務署の調査は、過去遡って3年ですが、指示があればそれ以上遡って調査されることもあります。
脱税処理と税理士の損害賠償
脱税が発覚した場合、本来の納税に上乗せして、重加算税という罰金に当たる金額が課されます。税務署としては、申告書類を作成し、署名した社長の責任なので、決して追徴額を減らすことはありません。
ただ、作成した税理士と、追徴を受けた企業との間に、押し付け合いが生まれやすいのも事実です。そして、税理士の損害賠償額は、年々増えてきていると言います。
中には、社員が会社のお金を使い込んで不正報告していたのに気付かず、書類を作成していた税理士が訴えられる例もあるようです。日常の仕事に戦々恐々としなければいけない税理士の負担を少しでも軽くするために、開始されたのが税理士損害賠償保険です。
名前の通り、訴えられた税理士のために保険金を支払う保険で、規約によれば、被保険者が、日本国内において税理士としての業務の遂行にあたり、職業上相当な注意をしなかったことに基づき提起された損害賠償請求について、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害、とされています。
実は、この微妙な言い回しのせいなのか、規約を読んでいると、例えば税金を過少申請してしまった場合など、状況によって、保険金の支払いが行われたり、行われなかったりする場合があるようです。
そのためか、あまり役に立たないと、税理士のおおよそ半数はこの損害賠償保険に加入していないと言われています。しかし、本当に役に立たないかどうかは、個々のケースによって変わってくるので、一概に言い切ることはできないでしょう。
どこまで支払われるのかという細かい判断は、裁判所の判決が実際に何例か下されていますから、自分の立場に近いものを調べてみると良いかもしれません。
最近は損害賠償額の増加に合わせて掛け金も増えてきているという保険ですから、もしもの時の状況にうまく利用できるよう、加入の是非を検討してみてはいかがでしょうか。
